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手作り化粧品の販売に許可は必要?
許可申請の要件についても解説

石けんなどの「手作り化粧品」を販売するためには、原則として都道府県知事の許可が必要です。この記事では、手作り化粧品の販売に許可が必要なケースと不要なケース、化粧品に関連する許可の種類や取得要件について説明します。

 

手作り化粧品(石けん・香水等)を販売するには?

時折、フリーマーケットやネットショップで「手作り」の石けんや香水などを見かけることがあります。こうした手作り化粧品は個人でも(比較的)簡単に作れますが、他人に販売する場合は注意が必要です。

 

薬機法によると、化粧品の販売や製造には許可や届出が必要とされています。これは工場で大量生産される化粧品であろうと、個人が手作りする化粧品であろうと変わりません。では具体的に、どのような場合に許可が必要となるのか、ふたつのケースに分けて見てみましょう。

 
「化粧品」として販売するケース

ひとつ目は「化粧品」として販売するケースです。薬機法第2条第3項では、化粧品について次のように規定されています。

「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。(ただし書以下は省略)
 

手洗い石けんのような「人の身体を清潔に」するもの、香水のように「魅力を増す」ためのものは、いずれも化粧品に当たります(化粧品の詳しい定義については『化粧品製造販売業許可とは?製造業許可との違いや申請要件についても解説』もご覧ください)。

 

 

もし手作り化粧品が薬機法の「化粧品」に当たるなら、その販売や製造には以下の許可や届出が必要です。

 

①化粧品製造販売業許可…自社の名前(ブランド)で化粧品を出荷・販売するための許可

②化粧品製造業許可(1号区分)…自社の設備で化粧品を一貫製造するための許可

③化粧品製造業許可(2号区分)…自社で化粧品を充填したり、ラベル貼りや検品するための許可

④化粧品製造販売届…実際に販売する化粧品についての届出(品目ごと)

 

 

なお他人(他社)が作った化粧品を小売する場合や、OEMで化粧品の製造から梱包・ラベル表示までまるごと外部委託する場合は、原則として上記の許可は必要ありません。

 
「雑貨」として販売するケース

ふたつ目は「雑貨」として販売するケースです。特に石けんの場合、パッケージなどの表記次第では化粧品ではなく、雑貨として販売することも考えられます。

 

結論から言うと、「雑貨」扱いの石けん(手作り化粧品)の販売に許可は必要ありません。なぜなら薬機法が適用されるのは、医薬品や医薬部外品、化粧品に限定されるからです。あくまで雑貨(=化粧品ではない)であれば薬機法の規制を受けずに販売することができます。

 

ただしここで問題になるのが「雑貨」と「化粧品」の区別です。雑貨の石けんについて明確な定義はありませんが、常識的に考えるなら、たとえば置物(インテリア)としての石けん、あるいは洗濯用石けんや台所用石けんなどは雑貨と言えるでしょう。

 

このうち洗濯用石けんと台所用石けんについては、実は明確な基準があります(消費者庁ホームページ『洗濯用又は台所用の石けん』より)。

 

  • 洗濯用石けん…純石けん分の含有重量が界面活性剤の総含有重量の70%以上
  • 台所用石けん…純石けん分の含有重量が界面活性剤の総含有重量の60%以上

 

洗濯用石けん、もしくは台所用石けんとして認められるには、きちんと成分分析をしたうえで上記の基準を満たさなければなりません。なお成分分析の結果は、たとえば「純石けん分(30%、脂肪酸カリウム)」といった具合にラベル表記することが義務付けられています。

 

一方、置物としての石けんには特に規定はありません。ただし置物として売る以上、洗濯用石けんや台所用石けんと表現するわけにいきませんし、何らかの「効能」を表示したり、それを匂わせる表現もNGです。

 

「雑貨」として手作り化粧品を売る場合は、これらの注意点に十分気をつける必要があります。

 

手作り「化粧品」の販売に必要な許可

手作り化粧品の販売や製造に関連する許可や届出について説明します。

 

化粧品製造販売業許可

化粧品製造販売業許可は、化粧品を自分の名前(自社ブランド)で出荷するために必要な都道府県知事の許可です。この許可を受けることにより、事業者は販売する製品の品質や安全性に対してすべての責任を持つことになります。

 

なお「製造」という言葉が入っていますが、この許可で化粧品を製造することはできません。また化粧品を容器に充填したり、ラベルを貼ったりすることはできません。

 
化粧品製造業許可

化粧品製造業許可は、化粧品の製造に必要な都道府県知事の許可です。許可には1号区分(一般)と2号区分(包装・表示・保管)の2種類があり、1号区分は化粧品の一貫製造、2号区分なら化粧品の充填やラベルの貼り付け、検品などを行えます。

 

なお化粧品製造業許可では化粧品の出荷はできません。化粧品製造販売業許可を持つ業者からの委託製造だけを行うか、もしくは自ら出荷するために化粧品製造販売業許可を取得する必要があります。

 

化粧品製造販売届

化粧品製造販売届は販売する製品についての届出です。具体的な品目ごとに「販売名」や「製造方法」、「製造所」などの情報を記載し、製造販売業許可所在地の都道府県に提出します。

 

許可の申請に必要な要件

化粧品製造販売業や化粧品製造業の許可は、誰でも簡単に取得できるものではありません。ここではそれぞれの許可に必要な要件を簡単に紹介します(要件の詳細や申請の手順については『化粧品製造販売業許可とは?製造業許可との違いや申請要件についても解説』『化粧品製造販売業許可を個人で取得するには?手続の流れやデメリットについても解説』をご覧ください)。

 

化粧品製造販売業許可

 

1)三役の設置

化粧品の製造販売業者として「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」を任命します。総括製造販売責任者になれる人は、以下のいずれかです。

①薬剤師

②大学等で薬学・科学に関する専門課程を修了した者

③高校等で薬学・科学に関する専門課程を修了し、化粧品(または部外品・医薬品)の品質管理や安全管理の業務に3年以上従事した者

④厚生労働大臣が、上記①〜③と同程度の知識経験を有すると認めた者

 

2)欠格事由に該当しない

申請者は、以下の欠格事由に該当してはなりません。

①薬機法に基づく「許可の取り消し」を受け、取り消しの日から3年を経過していない者

②禁錮以上の刑を受け、執行の終了もしくは執行猶予期間の終了から3年を経過していない者

③薬事に関する法令や処分に違反し、違反行為の日から2年を経過していない者

④麻薬・大麻・あへん・覚せい剤の中毒者

⑤心身の障害により、医薬部外品製造業者として必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者

 

3)GQP省令の遵守

化粧品の製造販売業者は、「品質管理業務の実施」や「品質管理業務手順書の作成」など、化粧品向けGQP(品質管理方法の基準)を遵守しなければなりません。

 

4)GVP省令の遵守

化粧品の製造販売業者は、「安全管理業務の実施」など化粧品向けGVP(製造販売後安全管理方法の基準)を遵守しなくてはなりません。

 

化粧品製造業許可

1)責任技術者の設置

化粧品の製造業者として、以下のいずれかの資格を持った人を「責任技術者」に任命します。

①薬剤師

②大学等で薬学・科学に関する専門課程を修了した者

③高校等で薬学・科学に関する専門課程を修了し、化粧品(または部外品・医薬品)の品質管理や安全管理の業務に3年以上従事した者

④厚生労働大臣が、上記①〜③と同程度の知識経験を有すると認めた者

 

2)欠格事由に該当しない

申請者は、以下の欠格事由に該当してはなりません。

①薬機法に基づく「許可の取り消し」を受け、取り消しの日から3年を経過していない者

②禁錮以上の刑を受け、執行の終了もしくは執行猶予期間の終了から3年を経過していない者

③薬事に関する法令や処分に違反し、違反行為の日から2年を経過していない者

④麻薬・大麻・あへん・覚せい剤の中毒者

⑤心身の障害により、医薬部外品製造業者として必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者

 

3)構造設備の基準を満たす

化粧品を製造する場所(製造所)は、許可の区分に応じて以下の基準を満たす必要があります。

 

1号区分…薬局等構造設備規則第13条(一般区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)の基準

2号区分…薬局等構造設備規則第13条の2(包装等区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)の基準

 

化粧品製造販売届

化粧品製造販売届については、特に要件はありません。ただし記載上の注意(異なった処方の製品に同一の販売名を使用しない、虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招く名称を使用しないなど)に十分留意が必要です。

 

医薬部外品に該当する場合について

場合によっては、手作り化粧品が(化粧品ではなく)「医薬部外品」に該当することもあります。たとえば以下のようなケースです。

 

  • 肌荒れを防ぐ有効成分を配合している
  • 皮膚の殺菌効果がある
  • 日焼けによるシミやソバカスを防ぐ

 

このように「清潔にする」「美化する」以上の効果や目的がある場合、その製品は化粧品ではなく医薬部外品と見なされ、販売や製造には特別な許可が必要です(詳しくは『医薬部外品の販売には許可が必要?ケースごとに必要な許可や申請要件について解説』もご覧ください)。

 

許可がないのに「肌荒れを防ぎます」のような表記をすると薬機法違反になるため、十分注意してください。

まとめ

手作り化粧品は、原則として薬機法の対象になります。手軽な副業、もしくは趣味の延長として製造・販売を検討している方は、まずは必要な許可の取得を目指すようにしましょう

 

 

横浜市で化粧品製造販売許可申請なら!

化粧品製造販売許可申請を行う場合、薬剤師や化学に精通した人的要件を満たすことや事務所としてのスペースを確保が必要です。書類を揃えるだけでは申請ができず、法人の場合には新たに採用するなどの方法がありますが、個人事業主の場合は自分や家族に該当者がいない場合には、人的要件を満たすことが難しいかもしれません。

 

しっかり要件や取得方法などをチェックした上で、申請や手続きを行いましょう。

 

行政書士・富樫眞一事務所では、化粧品製造販売許可の申請代行を行っております。横浜市で化粧品製造販売許可の申請を行う場合には、行政書士・富樫眞一事務所にご相談ください。

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