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化粧品の全成分表示義務とは?
全成分表示名称と表示ルールについて解説

化粧品を流通させるには、製品に含まれるすべての成分の表示が不可欠です。今回は薬機法で義務付けられている「全成分表示」について、制度の仕組みやルールを中心に説明していきます。

 

化粧品の全成分表示義務とは?

全成分表示義務とは、文字通り「化粧品に含まれるすべての成分を表示する」というルールです。日本で化粧品を製造・流通させるには、化粧品のパッケージなどに「全成分の名称」を記載することが必要とされています。

 

医薬部外品は表示指定成分のみ

これに対して、化粧品より厳しく規制される医薬部外品では意外なことに全成分表示が義務化されていません。「表示指定成分」としてリストアップされた102種類の成分のいずれかを含んでいる場合のみそれを表示します。

 

ちなみに表示指定成分というのは、人によってごくまれにアレルギー症状を起こす恐れのある成分のことです。

 
全成分表示が必要なわけ

一見すると化粧品の方が規制が厳しいように感じますが、医薬品や医薬部外品では製品を製造販売するにあたり「製造販売承認」、つまり認可が必要です。一方で化粧品を製造販売する場合は承認を受ける必要はなく、ただ製品ごとに「製造販売届」を提出します。

 

このように化粧品の製造販売は規制が緩やかになっているため、消費者の安全を確保するため(消費者が自分で確認し、選べるよう)、全成分表示が義務化されているというわけです。

 

全成分表示に使う名称について

全成分表示で記載する成分は「和名」、つまり日本語の名称で記載します。名称には基準があり、化粧品の製造者や販売者が勝手に付けた名前を記載することはできません。

 

全成分表示名称

全成分表示に使用するのは、原則として「全成分表示名称」です。これは化粧品に配合される成分について日本化粧品工業連合会が命名した和名で、これまでに命名・公表されているものについては、日本化粧品工業連合会のサイト『化粧品の成分表示名称リスト』で検索できます。

 

一方、まだ和名が存在しない成分を化粧品に使用する場合は、名称の作成を日本化粧品工業連合会に依頼します。ただしこの場合、化粧品成分の英語名である「INCI名(いんきめい)」が存在していることが大前提です。

 

INCI名とは

INCI名とは米国パーソナルケア製品評議会(PCPC)の国際命名法委員会(INC)が作成する化粧品成分の英語名称(通称)で、世界的に広く利用されています。

 

化粧品成分の和名である全成分表示名称はINCI名をもとに作られるため、もし化粧品にまったく新しい成分を使用する場合はINCI名の登録申請から始めなくてはなりません。

 
全成分表示名称以外の成分名は使える?

全成分表示名称の作成申請中、あるいはその前提となるINCI名の登録申請から始めている場合は、全成分表示名称以外の成分名を使える場合もあります。利用可能な成分名は以下の通りです。

 

  • ガイドライン(日本化粧品工業連合会表示名称命名法ガイドライン)に準じて作成した成分名称
  • 日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、食品添加物公定書に掲載の成分名称
  • 消費者が一般に理解できる成分名称
  • 化学名(IUPAC名など)

 

もっとも、これらの名称が使えるのはあくまで全成分表示名称が決まるまでの暫定的な措置です。もし正式に決まった全成分表示名称が上記の暫定名称と異なる場合は、製品に表示する成分名を変更しなければなりません。

 
 

全成分表示のルール

化粧品の全成分表示にはいくつかのルールがあります。ここでは厚生労働省医薬局『化粧品の全成分表示の表示方法等について』(医薬審発第163号/医薬監麻発第220号/平成13年3月6日)で公表されている6つのルールを中心に解説していきます。

 

①化粧品の成分表示名称リストを利用する

成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。

 

一つ目のルールは、すでに説明した「全成分表示名称(日本化粧品工業連合会作成の化粧品の成分表示名称リスト)を利用することです。

 

②分量の多い順に記載する

成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。

二つ目のルールは表示の順番に関するものです。化粧品の成分は好きな順番ではなく、使用割合の多いものから順に記載します。使用割合が1%以下の場合は、順不同(好きな順番)でかまいません。

 

③キャリーオーバー成分は表示しなくてよい

配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。

三つ目のルールは「全成分表示義務の例外」です。キャリーオーバー成分と呼ばれる、本来の成分に混ざり込んだ微細な成分(効果を発揮するほどの分量が含まれていない成分)は名称を記載する必要がありません。

 

④プレミックスは混合成分ごとに記載する

混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。

四つ目のルールは「プレミックス」に関するものです。プレミックスとは複数の成分からなる混合原料のことで、もしこれを化粧品に使用しているなら、混合されている成分ごとに記載します。

 

⑤抽出物と溶媒を分けて記載する

抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。

五つ目のルールは抽出物についての記載です。溶媒を使って抽出、もしくは希釈している抽出物を原料に使用する場合、原則として抽出された物質と溶媒をそれぞれ記載しなければなりません。

 

⑥香料の成分は「香料」と表示できる

香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと。

最後のルールは「香料」です。香り付けの効果だけしかない香料を使用する場合、具体的な成分名の代わりに「香料」と記載できます。

 

企業秘密成分について

上記のルールには含まれていませんが、「企業秘密成分は『厚生労働省が許可した場合のみ』記載しなくてもよい」という例外ルールもあります。

 

これは米国食品医薬品局(FDA)の制度に倣ったものと考えられますが、厚生労働省が申請を認めたケースはほぼありません。実はFDAが承認したケースも過去20年以上で十数件程度とされており、日本でこの例外ルールが適用されることは今後も「ほとんどない」と考えて良いでしょう。

 

海外の全成分表示義務について

FDAが規制を行っているアメリカをはじめ、EUやASEAN、中国、韓国、台湾などにもそれぞれ化粧品の全成分表示義務があります。これらの国や地域は日本の主要な輸出相手国でもあるため、化粧品販売の海外展開を考えている方は、各国の基準についてしっかり確認が必要です。

 

ちなみにアメリカ、EU、ASEAN、台湾では原則として「INCI名」を使用できますが、中国は中文INCI、韓国はハングルによる表記など、国ごとに基準が異なります。

 

まとめ

化粧品の流通には製品の容器等への全成分表示が必要です。製造した化粧品をスムーズに販売するため、使用している成分の和名やINCI名の有無についてもしっかり把握し、ルールに従った全成分表示をするようにしましょう。

 
 

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化粧品製造販売許可申請を行う場合、薬剤師や化学に精通した人的要件を満たすことや事務所としてのスペースを確保が必要です。書類を揃えるだけでは申請ができず、法人の場合には新たに採用するなどの方法がありますが、個人事業主の場合は自分や家族に該当者がいない場合には、人的要件を満たすことが難しいかもしれません。

 

しっかり要件や取得方法などをチェックした上で、申請や手続きを行いましょう。

 

行政書士・富樫眞一事務所では、化粧品製造販売許可の申請代行を行っております。横浜市で化粧品製造販売許可の申請を行う場合には、行政書士・富樫眞一事務所にご相談ください。

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