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無害化処理認定制度とは?
認定の要件と認定後の優遇措置について
石綿(アスベスト)の新たな処理制度として、令和元年にスタートした「無害化処理認定制度」。この記事では無害化処理認定制度の内容や事業者にとってのメリット、認定の流れについて解説していきます。
無害化処理認定制度は石綿(アスベスト)を含む廃棄物の処理する際に適用されるもので、令和元年12月に導入(従来の無害化処理制度を改正)されました。ここではまず、対象となる廃棄物や処理の方法について見ていきましょう。
無害化処理認定制度の対象となるのは、基本的に「石綿(アスベスト)」を含んだ廃棄物です。具体的には以下のようなものが想定されています。
種類 | 具体例 |
石綿(アスベスト)を含む廃棄物 | ①廃石綿等 ②石綿含有一般廃棄物(建物などの新築・改築・解体によって発生する一般廃棄物で、0.1%を超える石綿を含むもの) ③石綿含有産業廃棄物(建物などの新築・改築・解体によって発生する産業廃棄物で、0.1%を超える石綿を含むもの) |
微量PCB汚染廃家電機器等 | 再生油の使用などで、濃度 0.5mg/kgを超えるPCBに汚染されたトランス・コンデンサ等やOFケーブル(絶縁油を用いた地中送電線)など |
石綿(アスベスト)の処理は、従来より摂氏1500℃以上の高熱で処理し、無害化することとされていました。ただしこの方法が適用されるのは純粋な石綿についてで、石綿を含む一般廃棄物や産業廃棄物は必ずしも高温による無害化処理をされていたわけではありません。
そこで新たな無害化処理認定制度では、環境省令で定められた高度な処理方法(たとえば1500℃未満での他物質との混合溶融など)による無害化処理も可能とされ、石綿やPCBといった有害物質の適正な処理が促進されています。
無害化処理認定を受けるには、さまざまな要件を満たしたうえで厳しい審査をクリアする必要があります。一方で、認定を受けた事業者には優遇措置の適用や会社のイメージ向上といったメリットがあります。
廃棄物処理施設が無害化処理認定施設として認められた場合、事業者は以下のような優遇措置を受けられます。
認定の種類 | 事業者への優遇措置 |
一般廃棄物の無害化処理認定 | 一般廃棄物処理業(収集運搬、処分)の許可と一般廃棄物処理施設の設置許可が不要 |
特別管理産業廃棄物の無害化処理認定 | 特別管理産業廃棄物処理業(収集運搬、処分)の許可と産業廃棄物処理施設の設置許可が不要 |
無害化処理認定施設の認定を受けた事業者は、環境省のホームページなどで情報が公開されます。公開される内容は『事業者名』『設置場所』『問い合わせ先』『処理の方法』『収集運搬の有無』『廃棄物の種類』です。
参考:廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設 | 環境再生・資源循環 | 環境省
これらは事業者が「高度な処理技術を持っていること」や「人や環境にクリーンな処理を行っていること」の証明になるため、会社のイメージ向上が期待できますし、適正な処理業者を探している排出事業者に対する宣伝効果も期待できるでしょう。
無害化処理認定制度を活用するには、あらかじめ「認定要件」を満たしたうえで「相談・申請」を行なう必要があります。
環境省の無害化処理認定制度Q&Aおよび平成18年環境省告示第99号によると、認定要件は次の3つです。
処理内容(方法・技術)に関する要件 | ①石綿含有一般廃棄物等の無害化処理の用に供する施設の一日当たりの処理能力が五トン以上であること。 ②排ガス中の石綿の濃度が人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのないものであること。 ③排ガス処理設備によりばいじんを除去し、又は集じん器により粉じんを除去する場合には、当該ばいじん又は粉じんについて、当該無害化処理の用に供する施設において無害化処理を行い、又はセメント固化をするものであること。 |
処理実施者に関する要件 | ①無害化処理に伴い生ずる物(ばいじんを除く。以下「無害化処理生成物」という。)の性状が人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのないものとなるよう、無害化処理生成物の性状の確認及び管理を適切に行うことができる者であること。 ②無害化処理の用に供する施設が溶融施設である場合には、次に掲げる基準に従い当該施設の維持管理をすることができる者であること。 ・規則第十二条の七第十三項第一号、第四号、第五号、第七号、第八号、第十号及び第十一号の規定の例によること。 ・溶融炉内に投入された石綿含有一般廃棄物の温度を速やかに無害化処理を行うことができる温度以上とし、これを保つこと。 ・溶融炉内に投入された石綿含有一般廃棄物の数量及び性状に応じ、無害化処理に必要な滞留時間を調節すること。 ・無害化処理生成物が第一条に規定する基準に適合していることを確認するための試験を六月に一回以上行い、かつ、その結果を記録すること。 ・溶融炉が適正に稼働していることを確認するため、無害化処理生成物の流動状態が適正であることを定期的に確認すること。 |
施設に関する要件 | ①規則第十二条の二第十三項第一号、第三号、第四号及び第六号の規定の例によること。 ②次の要件を備えた溶融炉が設けられていること。 ・石綿含有一般廃棄物を無害化処理を行うことができる温度以上の状態で溶融することができるものであること。 ・上の温度を石綿含有一般廃棄物の無害化処理に必要な滞留時間の間保つことができるものであること。 ・適切な溶融炉内の温度を保つため、溶融炉内の空気量を調節することができる設備その他の必要な設備が設けられていること。 ③無害化処理生成物の流動状態が確認できる設備が設けられていること。 |
認定申請には「無害化処理認定申請書」とその添付書類(施設の図面や実証試験の結果を記した書面など)が必要です。なお無害化処理認定申請書は環境省のホームページ(石綿を含む廃棄物における無害化処理認定制度申請の手引き | 大気環境・自動車対策)からダウンロードできます。
無害化処理認定制度の書類提出先は、施設を設置しようとする地域を所管する地方環境事務所です。ただし申請前に環境省や地方環境事務所との十分な事前協議が必要です。
まず無害化処理認定制度の趣旨や詳しい内容について、施設を設置する地域を管轄する地方環境事務所で説明を受けます。その後、環境省産業廃棄物課で、技術的内容などの詳細な事項について協議・調整を行います。
必要書類が揃ったら、地方環境事務所に提出します(提出する部数については地方環境事務所から指定されます)。
提出された書類を環境本省(大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課・産業廃棄物課)で審査します。
申請内容について告示と知事等への通知が行われ、意見を集めるために縦覧されます。縦覧期間は1か月間です。
関係者からの意見書や知事等からの意見を受理します。
⑤で受理した意見について、さらに有識者からの意見を聴取します。
③〜⑥に基づいて認定・認定拒否が決定され、認定の場合は環境本省からその旨の連絡と、認定書交付が行われます。
認定後は地方環境事務所等による検査があります。
今回は産業廃棄物処分業許可証の更新手続を中心に、有効期限が切れた場合のリスクやトラブルを防ぐ方法について説明しました。この記事を参考にしながら、現在の許可証の有効期限と更新スケジュールについてあらためて確認してみてください。