行政書士・富樫眞一事務所|横浜市で廃棄物処理業許可の取得なら旭区にある
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産廃廃棄物の中間処理業許可とは?
中間処理の種類や許可が必要なケースを解説
産業廃棄物処理の工程の中で、特に複雑で重要度の高いのが「中間処理」です。この記事では中間処理の種類や処理の流れ、許可の取得が必要なケースについて解説します。
産業廃棄物処理は、収集運搬、中間処理、最終処分の3段階に分けられます。このうち(文字通り)中間に位置する中間処理は「焼却」や「溶融」など工程が多く、複雑な作業の連続です。
中間処理とは最終処分に向けた準備工程です。廃棄物処理には「①安全化、②安定化、③減量化」という3つの原則があるのですが、中間処理はこのうちのいずれか(もしくはすべて)を実現することで、最終処分後の廃棄物が環境に悪影響を及ぼすことを防ぎます。
ちなみに廃棄物処理の3原則についてそれぞれ一例を挙げると、①の安全化とは、たとえば酸性やアルカリ性の廃棄物を中和して無毒化すること、②の安定化は汚泥や煤塵(ばいじん)などの廃棄物を固めて性質の変化を防ぐこと、③の減量化は破砕機で廃棄物を砕いて容量を減らすことを指しています。
こうすることで、たとえば最終処分として廃棄物を埋め立てても土壌や地下水を汚染したり、処理場が短期間であふれかえることを防げるのです。
従来、中間処理の最大の目的は廃棄物の3原則を実現することでした。しかし現代ではそれに加え「リサイクル」という視点からも中間処理の重要性が増しています。
産業廃棄物の中にはそのままリサイクルできるもの、何らかの処理をすることでリサイクルできるもの、そしてリサイクルできないものがあります。毎日のように膨大な廃棄物が回収されてくる中で、効率の良いリサイクルを実現するには「選別」などの中間処理が欠かせません。
またリサイクルは棄物全体の容量を減らすため、3原則の③減量化にもつながります。
中間処理にはさまざまな種類(工程)があります。ここでは一般的に行われている5つの処理方法を紹介します。
焼却とは廃棄物を燃やして「燃え殻」や「灰」にする中間処理です。元の廃棄物と燃え殻・灰では体積も重量も大きく異なる(減少する)ため、廃棄物の減量化に大きく貢献します。
粉砕とは廃棄物を潰したり砕いたりする中間処理です。体積の大きな廃棄物を潰して縮小する、かさばる廃棄物を砕いて細かい破片にすることで、廃棄物の減量化を実現します。また素材によっては細かく砕くことでリサイクルの原料にもなります。
溶融とは廃棄物、特に焼却後の燃え殻や灰を高温で溶かす中間処理です。1,400°以上という高温で溶かすことにより、廃棄物の中に残っていた有機物がすべて燃え尽き、ガラス上の無機物へと変化します。この状態になった廃棄物は路盤材の原料などになるため、リサイクルにもつながります。
脱水とは汚泥などの廃棄物から水分を取り除く中間処理です。液状化して体積と重量が増えてしまった廃棄物を元の状態に戻し、減量化することができます。
選別とはリサイクルできるものとできないものを選り分ける中間処理です。産業廃棄物にはさまざまな内容・状態のものが含まれるため、効率的なリサイクルと減量化のために、選別作業はなくてはならない作業といえます。
収集運搬されてきた産業廃棄物は、一定の作業を経て焼却や粉砕などの工程に送られます。ここでは中間処理施設で廃棄物を受け入れてから、最終処分に送るまでの流れを紹介します。
施設に廃棄物が運び込まれたら、まず重量を計ります。これは処理料金を割り出すために欠かせない手順です。
次は廃棄物の選別です。これには「粗選別」と「手選別」の2工程があり、まず粗選別で廃棄物の大きさや重さに合わせて大まかな選別を、次に手選別で可燃物や不燃物、リサイクル可能なものといった具合に細かな選別をします。
先ほど説明した焼却や粉砕、溶融、脱水などの中間処理で、廃棄物を安全化・安定化・減量化します。
最終処分は中間処理後の工程です。具体的には最終処分場への「埋め立て」や「海洋投入」が行われますが、最近では海洋投入は減少し、代わりに「リサイクル」という形での最終処分が増えています。
中間処理には「中間処理業許可」という都道府県知事の許可が必要です。これには14条許可と15条許可の2種類があります。
14条許可とは「中間処理業」という業種で事業を営むための許可です。ただしこれは他社の産業廃棄物を請け負う場合の話で、廃棄物自社運搬、自社処分する場合は許可は必要ありません。
14条許可を受けるためには、施設・機材・技術に係る要件、人的な要件、財産的な要件をそれぞれ満たす必要があります。
15条許可とは「産業廃棄物処理施設(中間処理施設)」を設置するための許可です。施設については他社から請け負うものであろうと、自社で処理するためのものであろうと関係ありません。ただし、許可が必要かどうかは施設の規模によって異なります。
【許可が必要な中間処理施設の規模】
施設 | 規模 |
汚泥の脱水施設 | 10㎥/日を超えるもの |
汚泥の乾燥施設 | 10㎥/日を超えるもの |
汚泥の天日乾燥施設 | 100㎥/日を超えるもの |
汚泥の焼却施設 | 5㎥/日を超えるもの 又は200kg/時以上のもの 又は火格子面積が2㎡以上のもの |
廃油の油水分離施設 | 10㎥/日を超えるもの |
廃油の焼却施設 | 1㎥/日を超えるもの 又は200kg/時以上のもの 又は火格子面積が2㎡以上のもの |
廃酸又は廃アルカリの中和施設 | 50㎥/日を超えるもの |
廃プラスチック類の破砕施設 | 5t/日を超えるもの |
廃プラスチック類の焼却施設 | 100kg/日を超えるもの 又は火格子面積が2㎡以上のもの |
木くず又はがれき類の破砕施設 | 5t/日を超えるもの |
有害物質を含む汚泥のコンクリート固型化施設 | すべて |
水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 | すべて |
廃水銀等の硫化施設 | すべて |
汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設 | すべて |
廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設 | すべて |
廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 | すべて |
廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 | すべて |
PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設 | すべて |
産業廃棄物の焼却施設(汚泥、廃油、廃プラスチック類及び廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設を除く。) | 200kg/時以上のもの 又は火格子面積が2㎡以上のもの |
中間処理業の許可を取得するには膨大な手間と時間がかかります。事業内容や施設についての計画を立て、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や関係する法令に基づく申請書類を集め、自治体と交渉を行い、さらに住民向けの説明会開催や同意書の取得などが必要です。特に15条許可(施設の許可)を受ける場合は、立地条件を慎重に考慮し、十分な調査を行わなくてはなりません。
こうした作業をすべて完了し、許可を取得するには通常1年以上かかります。中間処理業の開業や処理施設の設置を検討しているなら、少しでも早く、スムーズに許可を取得するために、産業廃棄物処理業務に精通した専門家に相談することをお勧めします。
中間処理は一連の産業廃棄物処理工程の中でも特に重要な部分です。それだけに、中間処理業に参入するにはさまざまな要件をクリアした上で都道府県知事の許可を取得しなければなりません。中間処理業許可の取得を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。