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産業廃棄物処分業許可証を更新するには?

更新の準備から手続きの流れまで解説

産業廃棄物処分業許可証の有効期限がうっかり過ぎてしまうと、産業廃棄物の処理業者も、処理を委託する排出業者も厳しいペナルティを受けることがあります。この記事では有効期限を更新するための準備や手続きの流れ、トラブルを防ぐ方法などについて解説します。

 

産業廃棄物処分業許可証には有効期限がある

産業廃棄物処分業許可証には「有効期限」の欄があります。すべての産業廃棄物処分業者は、この期限が過ぎる前に更新手続きを行わなくてはなりません。

 

関連記事『産業廃棄物処分業許可証の記載内容とは?確認すべき重要ポイントを解説

 

有効期限は5年

有効期限は原則「5年」です。廃棄物処理法の第14条第2項の中ではこのように規定されています。

前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

ただし優良産業廃棄物処理業者認定制度で優良認定を受けている場合、有効期限は7年に延長されます。優良認定の要件は以下の通りです。

 

  • 順法性(5年以上の実績があり、不利益処分を受けていない)
  • 事業の透明性(インターネットで情報を適切に開示)
  • 環境配慮の取り組み(ISO14001などの認証取得)
  • 電子マニフェスト導入
  • 財務体質の健全性
 
 

更新申請中は効力が続く

更新申請から更新許可まではタイムラグがあります。もしこの間に有効期限が過ぎた場合はどうなるのでしょうか?この件について、廃棄物処理法第14条第3項にはこのように書かれています。

前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
 
少なくとも有効期限内に更新申請が出された場合、実際に許可(あるいは不許可)の処分が出るまでは産業廃棄物処分業許可証の効力は続きます。
 

 

許可の効力が切れた場合

一方、有効期限内に更新申請が出されなかった場合、あるいは有効期限経過後に申請が不許可となった場合は許可の効力は切れてしまいます。許可の効力が切れると以下のような不都合が発生するため要注意です。

 

①無許可業者になる

許可の効力が切れている以上、その事業者は「無許可業者」です。当然ながら他社から委託を受けて廃棄物処理業務を行うことはできませんし、万一、他社と委託契約を結んだ場合は両者に「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科」が適用されます。それだけでなく、その後一定期間は産業廃棄物処理業の許可を取得できないというペナルティ付きです。

 

②新規の許可取得が必要

いったん切れてしまった許可を復活させることはできません。つまり、産業廃棄物処理業者として事業を行うにはあらためて新規の許可を取得しなければならないということです。なお新規申請の申請手数料は更新申請よりも若干高額です。

 

③許可番号が変わる

見落としがちな点ですが、許可の効力が切れると産業廃棄物処分業許可証に記載された許可番号も失効します。そして新規の許可取得後は新しい許可番号を割り振られます。一見すると大きなデメリットとは感じないかもしれませんが、すでにホームページや会社パンフレット、名刺などに許可番号を掲載している場合は「すべて作り直し」です。以前から継続して付き合いのある業者があるなら、新しい番号を周知する手間も発生します。

 

産業廃棄物処分業許可証の更新準備

ここからは産業廃棄物処分業許可証を更新するための準備について説明します。

 
 

準備しておくこと

 

更新申請には新規申請と同じように大量の「書類」が必要です。その中には登記事項証明書のように法務局から取り寄せるもの、住民票や登記事項証明書のように市役所から取り寄せるもの、納税証明書のように税務署(国税庁)から取り寄せるもの、銀行に発行してもらうものなどがあり、非常に手間がかかります。

 

加えて、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(更新)」の受講も必要です。

 
 

更新申請は期限当日でも問題ない?

更新申請の受け付けが始まるのは、有効期限の2〜3か月前からです(都道府県や政令市によって違います)。もちろん許可期限当日に申請書を提出しても受け付けてもらえますが、そのためには書類の漏れなどのミスがあってはなりません。万一のことを考えると、ある程度余裕を持って申請を行うことをお勧めします。

 

長期間の準備が必要なケース

場合によっては、申請の受け付けが始まる2〜3か月前から準備しても間に合わないケースもあります。

 

更新申請には日本産業廃棄物処理振興センターの講習会を受講する必要がありますが、講習会の有効期限は新規の受講で5年間、更新の場合は受講後2年間です。

 

講習会はあらかじめ決められたスケジュールに沿って行われるため、最悪の場合、更新申請のタイミングと講習会のスケジュールが合わないことも十分に考えられます。すでに講習会の期限が切れているなら、講習会のスケジュールと更新申請のタイミングをしっかり見極めたうえで、十分前もって準備を始めたほうがよいでしょう。

 

参考:講習会・研修会|公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

 
 
 

産業廃棄物処分業許可証の更新の流れ

産業廃棄物処分業許可証の更新手続きについて、一般的な流れを説明します。なお手続きの流れや必要書類などは都道府県や政令市(政令指定都市と中核市)によって違うことがあるため、実際に手続きを行う際は必ず確認してください。

 

①講習会を受講する

許可更新は「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の受講が必須です。講習会の有効期限(新規の講習会は5年、更新講習会は2年)が過ぎている場合は公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのホームページでスケジュールを確認して、許可更新に間に合うように受講してください。

 

②更新申請書類を提出する

更新申請に必要な書類をすべて集め、必ず「有効期限内」に提出します。提出先は新規申請のときと同じです。更新申請書類を提出する際は、講習会の修了証も提示します。

 

③新しい許可証の交付

申請から約2か月で許可証が交付されます。新しい許可証が交付される前に現在の許可証の有効期限が切れても(処分が決まるまで)許可の効力は継続しますが、新しい許可証が届いたらすぐに差し替えるようにしてください。

 

なお古い許可証の有効期限がいったん過ぎた後に許可証が交付された場合でも、新しい許可証の有効期限は古い許可証の有効期限の翌日から5年間(優良認定業者は7年間)です。

 

廃棄物処理法第14条第4項

前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
 

期限切れによるトラブルを防ぐには

産業廃棄物処分業許可証の期限切れを防ぐには、「スケジュール管理」が効果的です。許可証の次の更新時期(有効期限)はもちろん、講習会の有効期限もしっかり把握して、有効期限の2〜3か月前を目安に更新申請ができる予定を組んでください。

 

手作業でのスケジュール管理に不安があるなら、産業廃棄物処理業者向けの基幹業務システムを利用したり、「かかりつけ」の行政書士を持つのも有効です。

 

まとめ

今回は産業廃棄物処分業許可証の更新手続を中心に、有効期限が切れた場合のリスクやトラブルを防ぐ方法について説明しました。この記事を参考にしながら、現在の許可証の有効期限と更新スケジュールについてあらためて確認してみてください。

 

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