行政書士・富樫眞一事務所|横浜市で廃棄物処理業許可の取得なら旭区にある
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産業廃棄物に関する資格とは?
種類ごとの取得要件についても説明
産業廃棄物の処理にはさまざまな規制がかけられています。たとえば処理を行う際に国家資格や都道府県知事免許が必要とされるのもそのひとつです。この記事では産業廃棄物に関する各種資格の内容と取得要件について説明していきます。
産業廃棄物とは、法令によって指定されている20種類の廃棄物のことです。これらの中には自然環境や人体に悪影響を与える危険なものも含まれるため、処理の方法、そして処理に必要な資格も法令で指定されています。
関連記事『産業廃棄物とはどのようなもの?定義・具体例・処理の流れについて解説』
資格のバリエーションは国家資格が2種類、都道府県知事許可が4種類です。
国家資格 |
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都道府県知事許可 |
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特別管理産業廃棄物管理責任者というのは、特別管理産業廃棄物(爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物)の「排出事業者」に求められる資格です。
排出事業者は事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、排出状況の把握、処理計画の立案、保管状況の確認、委託業者の選定、適正な委託の実施、マニフェストの交付・保管などを行わせます。
なお、設置義務違反の罰則は「30万円以下の罰金」です。
廃棄物処理施設技術管理者とは、一般廃棄物処理施設と産業廃棄物処理施設を設置する「排出事業者と処理業者」に求められる資格です。
処理施設を設置する事業者は各施設に廃棄物処理施設技術管理者を置き、施設の維持管理管理業務の遂行、維持管理計画の立案、施設の運転時の監視・監督、施設設置者への改善事項などの意見具申などの業務を行わせます。
設置義務違反の罰則は、こちらも「30万円以下の罰金」です。
産業廃棄物収集運搬業は、産業廃棄物(特別管理廃棄物を除く)の収集運搬を「業として」つまり排出事業者から依頼を受けて行う事業者に必要とされる許可です(排出事業者が自分で収集運搬をする場合は不要)。
ちなみに産業廃棄物収集運搬業許可は都道府県や政令で指定された市(政令市)ごとに出されるため、収集場所と運搬先の都道府県・政令市が異なる場合、それぞれの自治体から許可を取得しなければなりません。
無許可で収集運搬業を行った場合の罰則は「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」で、さらに法人には「3億円の罰金」が科されます。
産業廃棄物処分業は、産業廃棄物(特別管理廃棄物を除く)の中間処理や最終処分を「業として」行う事業者に必要とされる許可です(排出事業者が自分で処理する場合は不要です)。
なお産業廃棄物処分業の許可は、取り扱う産業廃棄物の区分ごとに取得しなければなりません。無許可で処分業を行った場合は「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」に加え、法人に「3億円の罰金」が科されます。
関連記事『産廃廃棄物の中間処理業許可とは?中間処理の種類や許可が必要なケースを解説』
特別管理産業廃棄物収集運搬業は、上で説明した業廃棄物収集運搬業の「特別管理産業廃棄物」版です。収集場所と運搬先が異なる自治体の場合それぞれ許可が必要なこと、そして罰則の内容などは変わりません。
特別管理産業廃棄物処理業は、産業廃棄物処理業の「特別管理産業廃棄物」版です。こちらも産業廃棄物の区分ごとに許可が必要なことと、罰則の内容は同じです。
2つの国家資格の取得要件は、原則として「学歴に応じた実務経験」です。ただし実務経験がない場合でも、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)や一般財団法人日本環境衛生センター (日環センター)が開催する講習を修了することで資格が認められます。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格要件は、その事業場で「感染性産業廃棄物を扱うかどうか」によって異なります。
【感染性産業廃棄物を扱う場合】
以下の要件のうち、いずれかを満たすことが必要です。
① | 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師または歯科衛生士であること |
② | 環境衛生指導員として2年以上働いていること |
③ | 大学・高専において、医学、薬学、保健学、衛生学もしくは獣医学の課程を修めて卒業した者、またはこれと同等以上の知識を有すると認められる者 |
③の「これと同等以上の知識を有すると認められる」とは、JWセンターの「医療関係特管責任者講習会」を修了していることを指します。受講には医師や看護師などの医療関係者、環境衛生指導員資格者、薬学系大学か高専の卒業者であることが必要です。
【感染性産業廃棄物以外を扱う場合】
以下の要件のうち、いずれかを満たすことが必要です。
学歴 | 実務経験 | |
① | 環境衛生指導員 | 2年以上 |
② | 大学の理学・薬学・工学・農学科を卒業し、衛生工学・化学工学を修了 | 2年以上 |
③ | 大学の理学・薬学・工学・農学科に相当する学科を卒業し、衛生工学・化学工学以外を修了 | 3年以上 |
④ | 短大・高専の理学・薬学・工学・農学科を卒業し、衛生工学・化学工学を修了 | 4年以上 |
⑤ | 短大・高専の理学・薬学・工学・農学科に相当する学科を卒業し、衛生工学・化学工学以外を修了 | 5年以上 |
⑥ | 高校・中学を卒業し、土木科・化学科に相当する学科を修了 | 6年以上 |
⑦ | 高校・中学を卒業し、理学・工学・農学に相当する科目を修了 | 7年以上 |
⑧ | 学歴不問 | 10年以上 |
⑨ | 上記と同等以上の知識を有すると認められる者 | ― |
⑨の「上記と同等以上の知識を有すると認められる」とは、JWセンターの「特管責任者講習会」を修了していることを指します。
医療関係特管責任者講習会と特管責任者講習会の受講料は、それぞれ「13,200円」です。
大学の理学・薬学・工学・農学科を卒業し、衛生工学・化学工学を修了廃棄物処理施設技術管理者になるには、以下のいずれかの資格要件が必要です。
学歴 | 実務経験 | |
① | 化学部門・上下水道部門・衛生工学部門の技術士 | 不要 |
② | 化学部門・上下水道部門・衛生工学部門以外の技術士 | 1年以上 |
③ | 環境衛生指導員 | 2年以上 |
④ | 大学の理学・薬学・工学・農学科に相当する学科を卒業し、衛生工学・化学工学を修了 | 2年以上 |
⑤ | 大学の理学・薬学・工学・農学科に相当する学科を卒業し、衛生工学・化学工学以外を修了 | 3年以上 |
⑥ | 短大・高専の理学・薬学・工学・農学科を卒業し、衛生工学・化学工学を修了 | 4年以上 |
⑦ | 短大・高専の理学・薬学・工学・農学科に相当する学科を卒業し、衛生工学・化学工学以外を修了 | 5年以上 |
⑧ | 高校・中学を卒業し、土木科・化学科に相当する学科を修了 | 6年以上 |
⑨ | 高校・中学を卒業し、理学・工学・農学に相当する科目を修了 | 7年以上 |
⑩ | 学歴不問 | 10年以上 |
⑪ | 上記と同等以上の知識を有すると認められる者 | ― |
⑪の「上記と同等以上の知識を有すると認められる」とは、日環センターの「廃棄物処理施設技術管理者講習」の「基礎・管理課程」を修了していることを指します。
ちなみに廃棄物処理施設技術管理者講習には施設の種類ごとに必要な知識・技能を認定する「管理課程」もありますが、厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知(衛環第96号)により「(学歴・実務経験とは別に)修了することが望ましい」とされています。
廃棄物処理施設技術管理者講習の受講料は以下の通りです。
基礎・管理課程の場合
受講コース | 受講料 |
ごみ処理施設コース し尿・汚泥再生処理施設コース 産業廃棄物中間処理施設コース 産業廃棄物焼却施設コース 最終処分場コース | 121,000円 |
破砕・リサイクル施設コース 有機性廃棄物資源化施設コース | 103,400円 |
ごみ処理施設コース(Eラーニング) | 111,320円 |
破砕・リサイクル施設コース(Eラーニング) | 95,128円 |
管理課程の場合
受講コース | 受講料 |
ごみ処理施設コース し尿・汚泥再生処理施設コース 産業廃棄物中間処理施設コース 産業廃棄物焼却施設コース 最終処分場コース 破砕・リサイクル施設コース | 66,000円 |
ごみ処理施設コース(Eラーニング) 破砕・リサイクル施設コース(Eラーニング) | 60,720円 |
4つの都道府県知事許可には、それぞれ人に関する要件、財産に関する要件、施設に関する要件があります。このうち人に関する要件の「欠格要件」と、財産に関する要件は4つの許可すべてに共通しています。
まず欠格要件は、以下に当てはまらないことです。
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産業廃棄物収集運搬業の施設に関する基準とは、収集運搬に用いる車両や船舶、容器、施設が業務に適していること、廃棄物の飛散・流出や悪臭・振動を防止するために必要な措置を講じていることなどを指します。
また「産業廃棄物の適正な処理を行うために必要な専門的知識と技能を有していること」も必要です。これにはJWセンターの「産業廃棄物の収集・運搬課程」を受講し、修了試験に合格する必要があります。受講料は「25,300円」です。
すべての要件をクリアしたら、都道府県・政令市に届出をします。届出時の手数料は81,000円です。
産業廃棄物処理業の施設に関する基準は、「廃棄物の処分に適する処理施設を有すること」です。具体的な内容は処理する廃棄物の品目や処理方法によって変わりますが、飛散・流出・浸透の防止や振動・騒音、悪臭が発散しないように環境保全措置を講じることが必要です。
もちろん「産業廃棄物の適正な処理を行うために必要な専門的知識と技能を有していること」も必要です。具体的にははJWセンターの「産業廃棄物の処分課程」を受講し、修了試験に合格する必要があります。受講料は「39,600円」です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業の要件は、産業廃棄物収集運搬業に準じますが、収集運搬する廃棄物の種類に応じてより厳重な対策が必要になります(感染性産業廃棄物の運搬に適した「保冷車」など)。なお受講する研修はJWセンターの「特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程」で、受講料は「37,400円」です。
特別管理産業廃棄物処理業の要件は産業廃棄物処理業にほぼ準じます。受講する研修はJWセンターの「特別管理産業廃棄物の処分課程」で、受講料は「56,100円」です。
産業廃棄物の処理には、主に2つの国家資格と4つの知事許可が関わっています。排出事業者や処理業者ごとに必要な資格が異なるため、事業を開始するにはどの資格を取るべきかしっかり理解しておくことが大切です。