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一般廃棄物と産業廃棄物の違いとは?

見分けるポイントと処理方法についても解説

廃棄物処理法では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けています。この記事ではそれぞれの違いや処理方法について解説していきます。

 

一般廃棄物と産業廃棄物の違い

一般廃棄物と産業廃棄物は、どちらも「廃棄物」の一種です。廃棄物と聞いて家庭ゴミのようなものを連想する人は多いと思いますが、廃棄物処理法によると、廃棄物にはさまざまなものが含まれます。

 

廃棄物処理法(廃掃法)の目的と内容

一般廃棄物と産業廃棄物は、どちらも「廃棄物」の一種です。廃棄物と聞いて家庭ゴミのようなものを連想する人は多いと思いますが、廃棄物処理法によると、廃棄物にはさまざまなものが含まれます。

 

廃棄物の定義

廃棄物の定義は廃棄物処理法第2条第1項に書かれています。

この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

ここでは「ごみ、粗大ごみ、燃え殻…」といった具合に廃棄物の内容が列挙されていますが、注目してほしいのは「その他の汚物又は不要物」という部分です。実際どのようなものが廃棄物になるかは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者(事業者)の意思などから総合的に判断されます(平成11年3月10日最高裁第二小法廷判決より)。

 

廃棄物処理法によると廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられ、さらに一般廃棄物には「特別管理一般廃棄物」、産業廃棄物には「特別管理産業廃棄物」と呼ばれる廃棄物が含まれます。

 

一般廃棄物と特別管理一般廃棄物

一般廃棄物とは「産業廃棄物以外の廃棄物」(第2条第2項)です。このうち事業者から排出されるものは「事業系一般廃棄物」、家庭から排出されるものは「家庭系一般廃棄物」と呼ばれます。

 

一般廃棄物のうち「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの」(第2条第3項)については、特別管理一般廃棄物と呼ばれています。具体的な品目は以下の通りです。

PCB使用部品 廃エアコン・廃テレビ・廃電子レンジに含まれるPCBを使用する部品
廃水銀 水銀使用製品が一般廃棄物となったものから回収した廃水銀
ばいじん ごみ処理施設の集じん施設で生じたばいじん
ばいじん、燃え殻、汚泥 ダイオキシン特措法の特定施設である廃棄物焼却炉から発生し、ダイオキシン類を3ng/gを超えて含有するもの
感染性一般廃棄物 医療機関等から排出される一般廃棄物で、感染性病原体が含まれるか付着しているおそれのあるもの

(環境省ホームページ『特別管理廃棄物規制の概要 | 環境再生・資源循環』より)

 

産業廃棄物と特別管理産業廃棄物

産業廃棄物とは、主に「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」(第2条第4項第1号)です。ここでは燃え殻や汚泥など6品目が挙げられていますが、「政令(廃棄物処理法施行令)」ではさらに14品目が挙げられ、合計で20品目になります。

事業の種類に関係なく排出されるもの

①燃えがら

②汚泥

③廃油

④廃酸

⑤廃アルカリ

⑥廃プラスチック類

⑦ゴムくず

⑧金属くず

⑨ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず

⑩鉱さい

⑪がれき類

⑫ばいじん

特定の業種から排出されるもの

⑬紙くず 

⑭木くず

⑮繊維くず(天然繊維くずのみ)

⑯動植物性残さ

⑰動物系固形不要物

⑱動物の糞尿

⑲動物の死体

上記以外のもの 上記の産業廃棄物を処分するために処理したもの

(それぞれの具体例は『廃棄物の種類とは?一般・産業廃棄物の定義や産業廃棄物20品目の分類について解説』をご覧ください)

なお一般廃棄物と同じように、産業廃棄物でも特に「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの」は「特別管理産業廃棄物」と呼ばれます。

 

特別管理産業廃棄物

廃油 揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)
廃酸 著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸
廃アルカリ 著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物 医療機関等から排出される産業廃棄物で、感染性病原体が含まれるか付着しているおそれのあるもの

 

特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)

廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染みこんだ汚泥、PCBが塗布または染みこんだ紙くず、PCBが染みこんだ木くず・繊維くず、PCBが付着または封入されたプラスチック類・金属くず、PCBが付着した陶磁器くず・がれき類
PCB処理物 廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでPCBを含むもの
廃水銀等

①特定の施設で発生した廃水銀等

②水銀やその化合物が含まれている産業廃棄物、水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀

指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥
鉱さい 重金属等を一定濃度を超えて含むもの
廃石綿等 石綿建材除去事業や、大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散するおそれのあるもの
ばいじん 重金属等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
燃え殻 重金属等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
廃油 有機塩素化合物等、1,4-ジオキサンを含むもの
汚泥、廃酸、廃アルカリ 重金属等、PCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの

(環境省ホームページ『特別管理廃棄物規制の概要 | 環境再生・資源循環』より)

 

一般廃棄物と産業廃棄物の処理責任の違い

廃棄物を排出する事業者には次のような責任があります。これは一般廃棄物であろうと産業廃棄物であろうと同じです。

 

・事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない(第3条第1項)

・産業廃棄物を自ら処理しなければならない(第11条第1項)

 

このように事業者が出す廃棄物は「自己処理」が基本ですが、現実には廃棄物(特に産業廃棄物)の処理基準を満たす施設を用意できる事業者はそれほど多くありません。このため多くの排出事業者は、許可を受けた廃棄物運搬業者や廃棄物処理業者に処理を委託しています。

 

とはいえ自ら処理するにしても委託するにしても、すべての排出事業者は(そして委託を受けた処理事業者も)法令で指定された保管基準や運搬基準、処分基準、委託基準に従わなくてはなりません。

 

一般廃棄物と産業廃棄物の処理基準の違い

廃棄物の処理基準については、政令(廃棄物処理法施行令)の中で細かく規定されています。

条番号 基準の内容
第3条 一般廃棄物の収集、運搬、処分等の基準

第4条

一般廃棄物の収集、運搬、処分等の委託の基準

第4条の2

特別管理一般廃棄物の収集、運搬、処分等の基準

第4条の3 特別管理一般廃棄物の収集、運搬、処分等の委託の基準
第4条の4 事業者の一般廃棄物の運搬、処分等の委託の基準
第5条 一般廃棄物処理施設

第5条の4

熱回収施設における一般廃棄物の処分等の基準

第6条

産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準
第6条の2 事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準
第6条の5 特別管理産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準
第6条の6 事業者の特別管理産業廃棄物の運搬又は処分等の委託の基準
第6条の12 産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者の産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分等の再委託の基準
第6条の15 特別管理産業廃棄物収集運搬業者又は特別管理産業廃棄物処分業者の特別管理産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分等の再委託の基準
第7条 産業廃棄物処理施設
第7条の3 熱回収施設における産業廃棄物の処分等の基準
 
一般廃棄物と産業廃棄物の処理基準の違いは、基準の厳しさです。一般廃棄物よりも産業廃棄物の方が高い基準をクリアしなくてはなりません。
 

一般廃棄物と産業廃棄物の処理方法の違い

廃棄物処理法第1条では、廃棄物の処理方法の流れについて「適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等」と表現しています。この条文は一般廃棄物と産業廃棄物とで区別されておらず、どちらにも当てはまります。廃棄物の処理の流れは以下の通りです。

 

①分別・保管

排出された産業廃棄物は、適正な処理をするために分別し、処理を開始するまで適切な方法で保管しなければなりません。

 
 

②収集・運搬

産業廃棄物の処理を行うのは専用に設けられた処理施設です。産業廃棄物の処理を開始するには保管場所から収集し、安全に運搬する必要があります。

 

外部の事業者に収集・運搬を委託する場合、委託先の事業者は産業廃棄物運搬業の許可を受けていることが必要です。

 

③再生・処分

産業廃棄物の中には再生、つまり「リサイクル」できるものもあります。資源の有効活用や廃棄物の削減のためにも、リサイクルは今後ますます注目されていくことでしょう。

 

リサイクルできない産業廃棄物については、焼却・粉砕・脱水・中和といったさまざまな「中間処理」を行ったうえで、最終処分(埋め立てや海洋投棄)されます。

 
 

まとめ

今回は一般廃棄物と産業廃棄物の違いについて説明しました。事業者はどちらの廃棄物についても責任を持って処理する必要がありますが、特に産業廃棄物は処理基準が厳しいため、法令の正しい理解と準備が必要です。不明な点があれば専門家(行政書士)なども活用して、廃棄物を正しく処理していきましょう。

 

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