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高齢者への調剤

【若者との違い】

身体の生理機能は青年期の20歳頃が最高で、30歳を過ぎると低下し始め、40歳を過ぎると頃には身体機能は明らかに低下します。老眼になり、毛髪や歯の抜けが目立ち、女性では更年期になると多種多様な症状を呈します。高齢になるに従ってほとんど全ての機能は低下していきます。

高齢者とは65歳以上の方を指しますが、高齢者の患者さんには、やさしく、いたわりの態度で接するべきだと考えます。

 

【腎機能低下患者が多い】

主要な排泄臓器である腎は、心拍出量の約25%にあたる血液が流れる高灌流臓器です。糸球体濾過、尿細管分泌、尿細管再吸収の過程を経て尿として排泄されますが、加齢とともに心拍出量が減少するので腎への血流量も低下します。腎血漿流量は40歳以上になると減少し、65歳で青年期の40~50%までに減少するといわれています。尿細管機能も低下し、尿細管分泌、再吸収の低下が認められ、更に糸球体濾過機能の低下も認められるようになります。

【高齢者に多い疾患】

65歳以上の高齢者も有病率は45~65歳の約2倍にも達しています。その中で、最も多い疾患は循環器系疾患、次いで神経系・感覚器系、消化器系、呼吸器系、泌尿器系、筋骨格筋系・結合組織系などとなっています。

一般に高齢者の疾患は2つに大別されています。1つは「老化」そのものによると推定される疾患で、その代表として白内障、難聴、老年性痴呆、パーキンソン病、変形性頚椎症、肺気腫、食道裂孔ヘルニア、痛風、骨粗鬆症、変形性関節痛、前立腺肥大症などが挙げられています。他の一つは「動脈硬化」による疾患で脳血管障害、虚血性疾患などが代表です。

【加齢の影響から見た高齢者の分類】

高齢者とは65歳以上の方を指しますが、ひとくちに高齢者と言っても加齢の影響が現れるのは65~70歳、70歳代、80歳代、90歳代では異なります。例えば、厚生労働省の「抗菌薬臨床評価ガイドライン」(1998年)では、抗菌薬の薬物動態や感染症の病態から高齢者を次のように、3群に大別し、それぞれの特徴を指摘しています。

①65~74歳:加齢の影響は比較的少ない。

②75~79歳:加齢の影響による臓機能障害が多発する年齢層。

③80歳以上:加齢の影響が著しい。

このように一般的には、高齢者でも65~74歳では加齢の影響による腎・肝機能低下は比較的少なく、影響が強く現れるのは75歳以上と言えます。

高齢者に対する薬の反応

【高齢者疾患の特徴】

高齢者疾患の主な特徴は次のように考えられています。

①多種疾患性と多種薬性:年をとるにつれ、種々の生理機能や免疫機能が低下しますので、1人で多くの慢性疾患に罹患することが多くなります。

②薬物動態の相違性:高齢者では腎・肝機能が低下している場合が多いので、薬物の体内動態は若年者と異なっています。

【副作用が発現しやすい理由】

高齢者は若年者と比べ、生理機能の低下に伴う薬物の体内動態の相違に加えて、高齢者疾患の特徴である「多種疾患性」という性格から「多種薬剤性」を余儀なくされることが、高齢者に有害反応(副作用)を多発させる要因となっています。

【調剤に際し工夫すべきこと

■粉砕・一包化など

高齢者では、嚥下力や筋力などが低下するばかりでなく、手の震えなどの症状により服薬するときに、いろいろなトラブルが発生することも少なくありません。そのため、剤形を選択することが大切です。

■「粉砕」などの嚥下困難罹患者用の調剤

嚥下障害のために市販の剤形では服用が困難な高齢の患者さんには、錠剤を「砕く」など加工して、服用しやすくする調剤がたびたび行われます。

■「一包化」ODPの調剤

多種類の薬剤が投与されている場合、服用の忘れや誤りの発生することが少なくありません。こうした高齢者の服用時のアクシデントの防止に役立つのが「一包化」(ODP)調剤です。

■薬袋などの工夫

「正確に」「大きな文字で」「分かりやすく」を心掛けて薬袋に記述することが大切です。

まとめ

上記では、高齢者への調剤について説明しました。

薬剤師であり、薬局運営を法的観点からもサポートできる横浜在住の行政書士・富樫眞一は、薬局運営に積極的に参加することで、必ずや、お客様に役立ち、事業拡大のサポートができると確信しております。ご用命をお待ちしています。

次のお役立ち情報は、「妊婦への調剤」です。是非ご覧ください。

 

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