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アロマ製品の販売に許可は必要?
薬機法対象となる場合の許可要件と製造検査について解説

植物由来の精油を利用して、ストレスの緩和や美容・健康を促進するアロマテラピー(アロマ)。医薬品や一般的な化粧品とは異なるものですが、ストレスの多い現代人を癒してくれるグッズとして注目を集めています。この記事ではアロマと薬機法の関係や、アロマの製造販売に必要な許可、検査の流れなどについて説明します。

 

アロマ製品の販売に許可は必要?

アロマに関連する製品には、室内の芳香剤やアロママッサージなどに使う精油(エッセンシャルオイル)そのものをはじめ、精油を使ったアロマキャンドル、香水、入浴剤などさまざまな種類があります。

 

実際のところ、これらの製品のほとんどは薬機法で規制する医薬品や医薬部外品、化粧品にあてはまりません。このためアロマの製造・販売に許可が必要なケースはほとんどないと考えられます。

 

アロマ製品は薬機法の対象となることも

しかしひとくちにアロマといっても、関連する製品は多種多様です。そのような製品の中には、原料や製造方法、効能などの関係で薬機法の規制対象になるものもゼロではありません。

ここでは、アロマ製品が法律上どのように扱われる可能性があるかを簡単に説明しましょう。

 

①基本的には雑貨

最初に説明した通り、アロマ製品は基本的には「雑貨」扱いです。おしゃれなショップで見かけるアロマキャンドルやルームフレグランスなどはその典型といえるでしょう。こうした製品は人体への直接使用を前提としていないためです。

 

一方、アロマ製品の中にはマッサージに使う精油や、香水、入浴剤など肌に直接触れるものも含まれます。こうした製品も多くは雑貨ですが、中には化粧品や医薬品に該当するものもあるため注意が必要です。

 

②化粧品として扱われるケース

化粧品の定義について、薬機法ではこのように書かれています(第2条3項)

「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

また厚生労働省ではより具体的に、56種類の「効果」を指定しています(薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」)。たとえば次のようなものです。

(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える

(25)皮膚の水分、油分を補い保つ

(38) 芳香を与える

もしアロマ製品として販売されている精油や香水、入浴剤などがこうした効能を目的としているなら、それは化粧品ということになります。

 

③医薬品や医薬部外品になることはない?

医薬品の定義は次の通りです(薬機法第2条1項より、一部抜粋)。

1 日本薬局方に収められている物

2 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの

3 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの

一部の精油、ハッカ油やユーカリ油などは医薬品に関する品質規格書「日本薬局方」に掲載されています。つまり場合によっては、これらの精油を使った製品は医薬品に該当するということです。

また医薬部外品については、このように定義されています(薬機法第2条2項より、一部抜粋)

次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なもの

1 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物であつて機械器具等でないもの

イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止

ロ あせも、ただれ等の防止

ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

 

精油を使った製品の中には、上記の「不快感又は口臭若しくは体臭の防止」「あせも、ただれ等の防止」などを目的とするものもあります。

 

ただし原料に精油を使用しているからといって、すべて「アロマ製品」になるわけではありません。むしろ一般に「アロマ製品」と呼ばれるもののうち、医薬品や医薬部外品に当たるものはほとんどないと考えて良いでしょう。

 

アロマ製品の製造・販売に必要な許可

アロマ製品の製造から販売まで自社で一貫して行うのか、他社から仕入れたアロマを売るのかなど、取扱いのパターンによって必要な許可等は異なります。

 

それぞれの許可には申請要件(薬剤師の資格など人に関する要件、作業手順や施設・設備に関する要件など)があるため、アロマ製品の製造・販売を検討する際は、あらかじめ十分な準備が必要です。なお要件などについての詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

 

化粧品製造販売業許可とは?製造業許可との違いや申請要件についても解説

医薬部外品の販売には許可が必要?ケースごとに必要な許可や申請要件について解説

 

製造から販売まですべて自社で行う

アロマ製品の「メーカー」として、製造から販売まで一貫して行うパターンです。この場合に必要な許可等は以下の通りです。

 
  「雑貨」扱いのアロマ 「化粧品」扱いのアロマ
許可 なし
  • 化粧品製造販売業許可
  • 化粧品製造業許可(1号区分)
届出・承認 なし
  • 化粧品製造販売届

ちなみに化粧品製造業許可の「1号区分」とは、製造から梱包・ラベル貼りなどまで一貫して行うための許可です。

 

他社のアロマ製品を自社ブランドで販売する

OEMなどで、アロマ製品の製造だけ他社に委託するパターンです。自社内でラベル貼りや梱包などを行わない場合(すべて委託先に任せる場合)、必要な許可等は以下の通りです。

  「雑貨」扱いのアロマ 「化粧品」扱いのアロマ
許可 なし
  • 化粧品製造販売業許可
届出・承認 なし
  • 化粧品製造販売届

もし製品の包装やラベル貼り、検品のための倉庫作業を自社で行うなら、上記に加えて「化粧品製造業許可(2号区分)」が必要になります。

 

流通しているアロマ製品を小売する

スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどのように、他社ブランドの製品を仕入れて「小売する」パターンです。この場合、特に許可等は必要ありません。

 

輸入アロマ製品を国内向けに販売する

自社の海外工場や海外の製造会社(他社)で製造したアロマ製品を輸入販売したり、海外で流通しているアロマを輸入販売するパターンです。

 
  「雑貨」扱いのアロマ 「化粧品」扱いのアロマ
許可 なし
  • 化粧品製造販売業許可
  • 化粧品製造業許可(2号区分)
届出・承認 なし
  • 化粧品製造販売届
  • 外国届(化粧品外国製造販売業者届/化粧品外国製造業者届)
 

アロマ製品の製造に必要な検査

アロマ製品の製造工程では、いくつもの「検査」が行われます。特に化粧品扱いのアロマを出荷・販売する場合は、これらの検査すべてに合格しなければなりません。ちなみにそれぞれの検査は自社の検査設備で行うこともできますが、必要な専門設備やノウハウがない場合、外部の検査機関に検査を依頼することもできます。

 

受入検査

アロマの「原料」についての検査です。自社工場に原料が納品された段階で、以下の2つの検査を中心に行います。

 

  • 外観確認…原料の外観を目視して、汚損や破損の有無、注文通りの品物であるかなどを確認する
  • 官能試験…人間の五感を活用して、原料の色や匂いに異状がないかどうか検査する
 

バルク検査

アロマ製品の中身(バルク)についての検査です。アロマ製品を実際に製造し、その一部をサンプルとして以下の4つの検査を行います。

 

  • 物性試験…出来上がった製品の物理的な性質(pH・粘度・比重)について検査する
  • 外観確認…サンプルと標準品を並べ、目視で色や透明度などを比較する
  • 官能試験…間の五感を活用して、サンプルの匂いや使用感を検査する
  • 微生物試験…サンプルが一般細菌(大腸菌等)や真菌(カビ等)に汚染されていないか検査する
 

充填・包装・表示検査

アロマ製品を詰める容器や梱包資材についての検査です。納品〜バルク検査までの間に、以下の6つの検査を行います。

 

  • 標準品比較…納品された資材と標準品を比較して、同等のものかどうか確認する
  • 外観確認…資材の外観を目視して、汚損や破損の有無を確認する
  • 寸法/重量計測…資材の寸法や重量を計測して、ばらつきや標準品との差がないかどうか確認する
  • 機能試験…資材の可動部(容器のポンプ部分など)が正常に動作するか確認する
  • 嵌合試験…容器のキャップや中栓などに緩みがないか、はまり具合を確認する
  • 印刷剥離試験…容器の印刷・印字が容易にはがれないかどうか確認する
 

最終検査

製造工程の最後に行うのが最終検査です。ここでは完成品の製品からランダムにサンプルを選び、バルク検査と同等の微生物検査を行います。この最終検査に合格すれことで、アロマ製品の出荷を開始できます。

 

まとめ

アロマ製品の中には、薬機法上の「化粧品」に相当するものもあれば、薬機法の対象ではない「雑貨」にあたるものもあります。これからアロマの製造・販売に参入する方は、この記事や関連記事を参考にして、必要な許可や手順をしっかり確認するようにしましょう。

 
 
 

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化粧品製造販売許可申請を行う場合、薬剤師や化学に精通した人的要件を満たすことや事務所としてのスペースを確保が必要です。書類を揃えるだけでは申請ができず、法人の場合には新たに採用するなどの方法がありますが、個人事業主の場合は自分や家族に該当者がいない場合には、人的要件を満たすことが難しいかもしれません。

 

しっかり要件や取得方法などをチェックした上で、申請や手続きを行いましょう。

 

行政書士・富樫眞一事務所では、化粧品製造販売許可の申請代行を行っております。横浜市で化粧品製造販売許可の申請を行う場合には、行政書士・富樫眞一事務所にご相談ください。

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